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鍼灸治療とは

鍼灸治療とは、東洋医学の一分野で、からだにあるツボ(経穴)に鍼(はり)や灸(きゅう)を使って刺激を与えることで、からだのバランスを整え、自然治癒力を高める治療法です。

鍼灸治療は紀元前の古代中国に発祥し、17世紀に西洋社会に伝わりました。18~19世紀初頭には痛風や腰痛などの治療法として普及しましたが、近代医学の進歩により一時忘れられました。しかし、1970年頃に鍼の鎮痛効果が注目され、先進国で広まり、現在は補完代替医療の一環として定着しようとしています。
また、低開発国でも鍼灸が利用され、WHOの注目も浴びて世界的に広まっており、日本やアジア諸国、ヨーロッパやアメリカなど世界約60か国で治療が行われています。

鍼灸治療の仕組みと効果

鍼灸治療の仕組みは、東洋医学の理論に基づいています。
東洋医学では、からだには「経絡」と呼ばれるエネルギー(気・血液・水)の通り道があり、その中でもエネルギーが集まりやすい場所が「ツボ」と考えられています。
このエネルギーの流れが滞ると、自然治癒力が低下し、病気やからだの不調を生み出します。

そこで鍼灸を使ってからだのツボを刺激することで、エネルギーの流れを回復し、体内の異常な部位や臓器に間接的に働きかけることで症状が改善されます。
具体的には以下のような効果があります。

  • 鍼によって小さな傷がつくと、からだは傷ついた組織を修復しようとして、患部周辺の血液量を増やし、細胞に栄養や酸素を多く運ぶようになります。これにより血行が促進され、代謝が活発になります。
  • 鍼や灸の刺激は自律神経活動を変化させ、血管の調節をしたり臓器の働きを良くしたりします。特に副交感神経を優位にすることで、からだ・脳がリラックスした状態になります。
  • 鍼や灸の刺激は脳内でエンドルフィンなどの鎮痛物質やセロトニンなどの神経伝達物質を分泌させることで、痛みや不安・ストレスを和らげます。
  • 鍼や灸の刺激は免疫系にも影響し、免疫細胞の活性化や抗体産生を促進することで、感染症やアレルギーなどの予防・改善に役立ちます。

以上のように
鍼灸治療はさまざまな生物学的反応を引き起こすことで、自然治癒力を高め、病気の改善や健康増進に寄与します。

鍼灸治療の方法

鍼灸治療の方法は、鍼と灸に分けられます。

  • はり治療
    鍼は、ステンレス製や銀製の細い針をツボに刺していきます。
    筋肉の大きさや骨の位置をよく理解したうえで、適度な深さ・角度で素早く刺入します。鍼を上下させる・回す・振動させるなどの技法で刺激の強弱を調節したり、微弱な電気を流すことで、ツボを刺激し、さまざまな効果を生み出します。
    刺入したあとは、直ぐに抜く場合と、一定時間(10〜15分程)置鍼する場合があります。

  • きゅう治療
    灸は、ヨモギの葉から作られた艾(もぐさ)を使ってツボに温熱刺激を与える施術方法です。
    「よもぎ」は、多くの薬効成分を含む万能薬として知られています。よもぎは、漢方薬にも使われており、出血を止めたり、胃の働きを良くしたりするなど、さまざまな効果が期待できます。
    灸によって、よもぎの精油成分「チネオール」が皮膚から体内に入り、温められます。これによって、血液中の白血球が増えて免疫力が高まったり、「ヒートショックプロテイン」という現象が起こって免疫細胞が活性化したりします。また、疲労物質の生成を抑える力もあります。お灸をすると、身体が本来持っている自然治癒力が発揮され、不快な症状を緩和させます。
    ツボにお灸を置き、じんわり温かい状態を数分間繰り返します。
    お灸の種類は大きく分けて2つあり、もぐさを捻って直接皮膚にすえる直接灸と、もぐさと皮膚の間に台座がある間接灸があります。
    逆子の治療には直接灸、冷えが強い方の足のツボには間接灸を使うなど使い分けます。

鍼灸治療の適応する症状とは

鍼灸治療は以下のような症状に有効です。

神経系疾患神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症など
運動器系疾患関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症など
循環器系疾患心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れなど
呼吸器系疾患気管支炎・喘息・風邪および予防など
消化器系疾患胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔など
代謝内分秘系疾患甲状腺異常(甲亢、甲低)・高コレステロール血症・糖尿病・肥満・低血糖症・更年期障害など
生殖、泌尿器系疾患膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
婦人科系疾患月経不順・月経困難症・不妊症・妊娠中のつわりや腰痛・逆子・産後の回復など
皮膚科系疾患湿疹・皮膚炎・じんましん・アトピー性皮膚炎・ニキビなど
眼科系疾患眼精疲労・近視・遠視・乱視・老眼など
耳鼻咽喉科系疾患耳鳴り・難聴・中耳炎・副鼻腔炎・花粉症など
小児科疾患小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善など
美容と健康増進顔面神経麻痺の予防と治療、しわやたるみの改善、肌のハリやツヤの向上、ダイエット、ストレス解消、免疫力向上など

鍼、お灸って痛くないの?熱くないの?

鍼とお灸は、東洋医学の一分野として、痛みや不調の改善に効果があるとされています。しかし、初めての人が抱く「痛そう」「熱そう」という不安を解消できるよう、鍼とお灸の痛みや熱さについて解説します。

鍼の痛み

  • 鍼は、髪の毛程度の細さで、非常に鋭利なものを使います。そのため、鍼を刺すときの痛みはほとんどありません。鍼治療の鍼は0.16mmです。痛くないと言われている糖尿病用の注射針は0.3mm、採血用の注射だと0.9mmあります。鍼の太さの2~6倍です。
  • 現在の鍼にはステンレス製のものが多く、ステンレス製の鍼は柔軟性があり、曲げても折れにくくなっています。柔らかいので注射針のように細胞を引き裂くような刺し方になりません。鍼灸師の繊細な技術によって、鍼はスムーズに身体に入ります。
  • 実は鍼の先端は尖っているのではなく、わずかに”丸み”を帯びています。この形状は「卵型」と呼ばれています。先端がより鋭くなると、刺された時の痛みも増える傾向があります。現在、一般的に使用されている鍼の多くは卵型の形状をしています。
  • 鍼を刺した後に感じる痛みは、鍼による刺激で血液や気の流れが改善されることによるものです。この痛みは、チクッとした感覚や重だるさ、ひきつれ感など様々ですが、一般的には我慢できる程度です。
  • 鍼の痛みは個人差があります。痛みに敏感な人や体調が悪い人は、痛みを強く感じることがあります。また、施術する部位や鍼灸師の技術によっても痛みの感じ方は変わります。
  • もし鍼の痛みが我慢できない場合は、鍼灸師に伝えましょう。鍼灸師は、鍼の深さや角度を調整したり、別の部位に鍼を刺したりして、痛みを軽減することができます。

お灸の熱さ

  • お灸は、艾(よもぎ)というハーブを燃やして皮膚に温熱刺激を与える方法です。お灸には、艾を直接皮膚に乗せて燃やす直接灸(ちょくせつきゅう)と、艾を皮膚から離して燃やす間接灸(かんせつきゅう)があります。
  • 直接灸は、艾を米粒ほどに小さくして皮膚に乗せて燃やします。この方法では、皮膚が赤くなったり水ぶくれができたりすることがありますが、これは正常な反応です。火傷ではありませんし、跡も残りません。
  • 間接灸は、艾を皮膚から離して燃やします。この方法では、皮膚に直接触れないため火傷の心配はありませんが、温度調節が難しいことがあります。火傷しない程度の熱さでお灸をすることが大切です。
  • お灸の熱さは個人差があります。熱さに敏感な人や体調が悪い人は、熱さを強く感じることがあります。また、施術する部位やお灸の種類によっても熱さの感じ方は変わります。
  • お灸の熱さが我慢できない場合は、鍼灸師に伝えましょう。鍼灸師は、お灸の量や距離を調整したり、別の方法に変えたりして、熱さを適切にすることができます。

鍼灸治療と「未病治」

私たち鍼灸師は、鍼灸治療を通して、患者さまの血流や疲労、自律神経や免疫力、痛みや筋肉など、身体の様々な部分に働きかけることができます。
科学的な根拠も増えてきており、多くの病気や不調に対して効果的な治療法として認められています。

例えば、痛みに関しては、腰痛や肩凝りなどの運動器系の痛みだけでなく、頭痛や腹痛などの内臓系の痛みにも対応できます。
また、ストレスや疲労などの原因に対しても、鍼灸治療で心身のバランスを整え、自然治癒力を高めて改善に導くことができます。

介護保険や介護予防にも関係することですが、要介護者や要支援者の方に対しても、鍼灸治療は二次的障害や廃用性症候群を予防したり、緩和したりする効果があります。
また、介護者の方の腰痛や肩凝りなどの不調にもお役立ていただけます。
最近では、難病と呼ばれる病気や老人性の疾患などにも鍼灸治療が応用されることが増えてきています。

さらに、鍼灸治療は「治療」という枠を超えて、「健康管理」という観点からも重要な役割を果たします。
体質改善や健康増進といった目的で鍼灸治療を受けることで「未病治」という考え方に基づいて、身体の不調和を早期に発見し、修正することができます。
「未病治」とは「病気になる前に身体を整える」という東洋医学の基本的概念です。
「病気になってから治す」よりも「病気にならないようにする」ことが大切だという考え方です。これは、“最良の保健医療”と言えるではないでしょうか。